実は、最古の宗教行為の存在を示唆するネアンデルタール人の墓や礼拝所は、最古の人類文化の存在を示唆する品々(陶器、複数の部品を組み立てて作った道具、原始的な生活雑貨など)と同じ時代に作られたことが分かっている。この事実は、ヒト科の動物が人間らしい振る舞いをはじめた途端に、存在の深遠な謎について思いをめぐらせたり、実存的な不安に苦しんだりするようになり、物語を作ることで解決を見出そうとするようになったことを意味している。彼らが作った物語のことを、われわれは今日、「神話」と読んでいる。(『脳はいかにして〈神〉を見るか 宗教体験のブレイン・サイエンスアンドリュー・ニューバーグ、ユージーン・ダギリ、ヴィンス・ロース:茂木健一郎訳)

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