「天下有道、却走馬以糞、天下無道、戎馬生於郊、罪莫大於多欲、禍莫大於不知足、咎莫大於欲得、故知足之足、常足矣」(46章

【私訳】
 わたし(=『老子』作者)の説く自然な政治が実現していれば、よく走る馬などに誰も用は無くなる。しかし、わたしの説く自然な政治ができていないときには、あなたがたの住む都市城壁の周りに押し寄せた敵軍がキャンプを張って、長い期間、駐留するだろう。そこで戦車を牽くための軍馬が、もとの村人の飼い主の手を借りずして勝手に繁殖するのを、あなたがたは見るのだ。

(『予言 日支宗教戦争兵頭二十八
 あらゆることがゆるされ、解放されている自由な世界では、自由であることこそが最大の不自由である。人は自由によって生きているのでは決してなく、実際には、適度の不自由と制限によって生の安定と統一を得ている。しかし、自由があり余れば、人間は中心を喪い、自分を不自由であると空想的に設定することに被虐的快感を覚え、その瞬間の熱病によって生を支えようとするものである。(『三島由紀夫の死と私西尾幹二

三島由紀夫