換言すれば、価値的には中央の本尊の力が、順に周辺に遠心的に波及するとともに、逆に外周部の神々が、内なる本尊に向かって求心的に帰依していくのである。これら順・逆の二様の流れ、難しくいうと逆対応の流れが、広・狭両義のマンダラには必然的に認められることを忘れてはならない。マンダラは、固定化された存在ではなく、力の動きを示すダイナミズムを内包した一種の磁場の世界でもある。(『密教とマンダラ』頼富本宏)

密教