ヒトの体は30兆個の細胞よりなる。一方、ヒトは、ヒトとともに進化してきた100兆個もの細菌や真菌の住処でもある。こうした微生物が私たち自身の細胞数を大きく上回るという状況について考えてみよう。私たちの身体を構成する細胞の70から90パーセントは、ヒト以外の細胞ということになる。微生物は、皮膚、口腔、鼻腔、耳腔、食道、胃、腸管などに棲んでいる。女性は膣にも豊かな細菌叢を有している。(中略)
 すべての細菌を合わせると、一人あたり約3ポンド、つまり脳に匹敵する重量の細菌がヒトに常在し、その種は10000にも及ぶ。
(『失われてゆく、我々の内なる細菌』マーティン・J・ブレイザー:山本太郎訳)