「死神」をつれてきたという報告をきき、その上、現に目の前のわたしの頭の上にいる「死神」を見た瞬間、彼はすっかりうろたえて、まさか「死神」をつれ出せる者がいようとは、と驚きの叫び声をたて、わたしには、今すぐ彼(死神)を元の家に連れ戻すようにいいつけておいて、老人は、大急ぎで自分の部屋に入り、戸や窓を前部閉めはじめたのだが、窓の2~3枚も閉めおわらないうちに、わたしは老人の戸口の前に「死神」を放り出してやった。(『やし酒飲み』)『アフリカの日々 やし酒飲み(池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 I-8)』イサク・ディネセン、エイモス・チュツオーラ:横山貞子、土屋哲訳

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