莫大な購買力を持つファストフード・チェーンが均一の製品を求めた結果、肉牛の飼育法、食肉の処理法、挽肉の加工法も根底から変わった。そのせいで、食肉加工業者全般――かつては高度な技術を要し、高賃金を得られた職業――が、アメリカで最も危険な仕事に、貧しい流れ者の移民が行なう作業になってしまった。彼らの就業中の怪我については、大半が記録に残されず、補償もされない。しかも、まさに労働者を危険にさらすこの食肉産業によって、大腸菌O-157H7などの致死性の病原体がハンバーガー用食肉に、子どもたち相手に猛烈な売り込みがなされている食品に、持ち込まれている。(『ファストフードが世界を食いつくす』エリック・シュローサー:楡井浩一訳)