わたしは野生動物からなにか特定の生き方を学ぼうなどとは考えていない。(中略)けれども、無心ということを、身体感覚だけで生きる純粋さを、偏見動機なしで生きる気高さを、いくらかなりとも身につけることはできるだろう。イタチは必然に生き、人は選択に生きる。必然を恨みつつ最後にはその毒牙による愚劣な死を遂げる。イタチはただ生きねばならぬように生きる。わたしもそう生きたいし、それはすなわちイタチの生き方だという気がする。時間と死に苦もなく開き、あらゆるものに気づきながらなにものも心にとどめず、与えられたものを猛烈な、狙い定めた意志で選択する生き方だ、と。(『石に話すことを教えるアニー・ディラード:内田美恵訳)
 民族は国家を形成する核になり得るが、一方でまた国家は一体感のある民族、均質な国民を作ろうとする。アイヌ民族に同化を迫ったように、そこでは多数派を占める民族と他の民族との間に「抑圧-被抑圧」の関係が生じざるを得ない。(『面白いほどよくわかる世界の紛争地図 紛争・テロリズムから危険地帯まで、「世界の危機」を読み解く世界情勢を読む会編著)
 日常生活で、【秘密結社】と秘密組織の違いが特に問題となるような場面はまずない。しかし、社会学的にいうと、両者はまったく別の存在である。どう違うのか?
 最も大きなポイントは、【参入儀礼】の有無だ。秘密結社では入会する際に、参入儀礼と呼ばれる特殊な儀式を受けなければならない。従って、参入儀礼を執り行っていない組織は、どれほど秘密性が強くても、秘密結社と呼ぶことはできないのである。
(『面白いほどよくわかる世界の秘密結社 秘密のベールに隠された謎の組織の全貌有澤玲
 もともとナポレオンという人は計算がすきで作戦を立てるときも数学を使ったという。力学では物体の質量と速度をかけ合わしたものを運動量というが、彼はこの例にならって、部隊の人数と移動速度をかけ合わしたものを部隊の運動量として計算したという。騎兵の部隊などは人数は少なくても移動速度が大きいので、運動量は大きいわけである。(『数学入門遠山啓

数学
 ナポレオンラプラスに対して、神に言及することなくこの本をどうして書き上げることができたのかと不思議がったとき、この有名な数学者が、「閣下、私はそのような仮説を必要としなかったのです」と答えたように。(『神は妄想である 宗教との決別リチャード・ドーキンス:垂水雄二訳)

キリスト教科学と宗教
 神は、世界中のどの冷蔵庫の中身も知っている。
 神は、動いているどの機械の状態も知っている。
 神は、世界中の昆虫の1匹1匹がなにをしようとしているかを知っている。

 とはいえ、これらは、以下の三つと比べると、多少奇異に感じられる。

 神は、あなたが昨日だれと会ったかを知っている。
 神は、あなたが嘘をついているのを知っている。
 神は、私が悪いことをしたのを知っている。

 これがまったく文脈の問題だということに注意しほしい。

(『神はなぜいるのか?パスカル・ボイヤー:鈴木光太郎、中村潔訳)

科学と宗教
 他人を害する破壊的な行為には、力が必要です。力がない足りない場合は、力が内向きになって、ひきこもりになったり、自殺願望を引き起こしたりすることになります。「嫌な状況をぶち壊したい。他人を破壊したい。でも、できない」というとき、人間は自分自身を破壊してしまうのです。(『心は病気 役立つ初期仏教法話2アルボムッレ・スマナサーラ

仏教
 上座部大寺派の成仏伝承は、経典では主に四諦型三明説だったが、遅くとも5世紀初頭までには縁起型三明説に変化した。インドにおける諸部派の成仏伝承にも同様の変化が確認できた。経典や律蔵では四諦型三明説だったが、独立した仏伝作品では三明説に縁起を組み込み、縁起型三明説が成立している。縁起型三明説は上座部大寺派に固有の伝承なのではなく、部派を超えて、南アジアに広く流布した成仏伝承なのである。(『上座部仏教の思想形成 ブッダからブッダゴーサへ馬場紀寿

仏教
「夏のレトルトカレー、覚えているか?」
「あー、はい」
「あのレトルトカレーだってそうだろう。賞味期限は人が決めた基準だ。温めて食べて大丈夫だったらそれでいいじゃないか」
(『悪党 小沢一郎に仕えて石川知裕
 宗教はとりわけ、共同体のメンバーが互いに守るべき道徳規範を示し、社会組織の質を維持する。まだ市民統治機構が発達していなかった初期の社会では、宗教だけが社会を支えていた。宗教は、同じ目的に向けた深い感情的つながりをもたらす儀礼をつうじて、人々を束ね、集団で行動させる。(『宗教を生みだす本能 進化論からみたヒトと信仰ニコラス・ウェイド:依田卓巳訳)

科学と宗教
(富永)仲基の説は『出定後語』にまとめられているが、多数の仏教経典はブッダ一人が説いたものでなく、歴史的に順次に成立してきたものだというもので、近代の仏教学の方向を完全に先取りしている。それを基礎づける理論が加上説で、要するに時代的に後から出てくる説は、それに先立つ説に何らかの新しいことを付け加えることによって、自己の優越性を示そうとする、という考え方である。逆にいえば、新しいことが付け加わっている文献は、それがないものよりも時代的に新しく成立したということになる。(『思想としての仏教入門末木文美士
 なにが、ゴリラの姿を消してしまうのか。この見落としは、予期しないものに対する注意力の欠如から起きる。そこで科学的には、“非注意による盲目状態”と呼ばれている。(『錯覚の科学クリストファー・チャブリス、ダニエル・シモンズ:木村博江訳)

認知科学
 あれかこれがありさえすれば、幸せになれるだろうと信じることによって、われわれは、不幸の原因が不完全で汚れた自己にあることを悟らずに済むようになる。だから、過度の欲望は、自分が無価値であるという意識を抑えるための一手段なのである。(『魂の錬金術 エリック・ホッファー全アフォリズム集エリック・ホッファー:中本義彦訳)
 甲野師匠は、62キロの体重で、135キロの人でも持ち上げる。「いよっ、力持ち!」というのはシロートの考え。
「鎧(よろい)を想像してみてください」と師匠。「鎧は持つより、担いだほうが軽く、担ぐより、着るといちばん軽く感じるんです」
 鎧のごとく相手を「着る」。すなわち相手の体重を、こちらの体全体に散らせて受け止める。
(『古武術で毎日がラクラク! 疲れない、ケガしない「体の使い方」甲野善紀指導、荻野アンナ文)

介護
 自尊心という家の2階に住んでいる者たちは、階下に住んでいる者たちとは何の関係もないと主張する。したがって彼らは、2階に昇る秘密の階段があることを人に知らせたという点で、ラ・ロシュフコーを許さないのだ。(『月曜閑談サント・ブーヴ:土居寛之訳)
 1987年にアメリカの対日貿易戦略基礎理論編集委員会によってまとめられた『菊と刀~貿易戦争篇』というレポートがある。執筆者名や詳しい内容は公表されていないが、アメリカ・サイドから一部がリークされ、その日本語訳が出版されている(『公式日本人論』弘文堂)。
 この調査研究の目的は、日本に外圧を加えることを理論的に正当化することだった。そして結論として、外圧によって日本の思考・行動様式そのものを変形あるいは破壊することが日米双方のためであり、日本がアメリカと同じルールを覚えるまでそれを続けるほかはない、と断定している。つまり、自由貿易を維持するという大義名分のためには、内政干渉してでもアメリカのルールを日本に受入れさせる必要がある、と主張しているのである。
(『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる関岡英之
「黄氏、商人は信義を重んじます。いちどとりきめたことは守らねばなりません。その信義からみれば、貴家の財の半分をさげわたすとは、虚言にひとしく、そういう虚言を弄されるかたが国の存亡にかかわる大任を果たせるはずがありません。この和氏(かし)の璧(へき)があろうがなかろうが、あなたさまは、ご自分の虚言によって身を滅ぼされるでしょう」(『奇貨居くべし宮城谷昌光
「与えられることになれた者は、その物の価値がわからず、真の保有を知りませんから、けっきょく豊かさに達しないのです」(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 知識によりかかればかえって目がくもる。(『奇貨居くべし宮城谷昌光
「風にも道がある」(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 うつむいてばかりいては一生天をみることができない。ときには身をそらし目をあげてみなければ、人は頭上にあるものがみえぬであろう。(『奇貨居くべし宮城谷昌光
「連続」を悪として「断絶」を善とするのは、革命史観の表れである。革命によって過去と手を切り、歴史を新規巻(ママ)き直しとし、一から出直すという考え方が基本にあるからである。(『国民の歴史西尾幹二

日本近代史
 ヨーロッパその他の諸外国から見て明治維新以来の日本の発展は、久しく「突然変異」か、もしくは「突発現象」のように見られていた。
 彼らは外から見て、江戸時代以前の歴史を知らない。ましてや、日本が7~8世紀に「第二の軸の時代」を突破して、ユーラシア大陸から切り離された独自の文明圏を孜々(しし)として築きあげてきた、長いひたむきな歴史にいたっては、まるきり知らない。
(『国民の歴史西尾幹二

日本近代史
「君たちが真剣なら私は何時間でも対話する用意があります」(クリシュナムルティ)『クリシュナムルティ・水晶の革命家』高岡光
 また、「グローバル化」が叫ばれる21世紀の世界では、どの国どの地域の人々であれ、また好むと好まざるとにかかわらず、自らの文明意識に支えられた明瞭なアイデンティティ感覚が求められるようになる。この点で、新しい世紀の門口に立って、世界を見渡しても現在の日本人ほど惨めな状況に立たされている人々は他にないように思う。なぜなら、いまこの国では、上述の「本当の歴史」とは何か、という歴史叙述をめぐる問題の混迷とともに、自らの属している文明、この日本という国のトータルな歴史観が、「戦後」という重圧にほとんど完全なまでに押し潰されてしまっているからである。(中西)『日本文明の主張 『国民の歴史』の衝撃西尾幹二中西輝政

日本近代史
 ランダム・ウォークというのは、「物事の過去の動きからは、将来の動きや方向性を予測することは不可能である」ということを意味する言葉である。(『ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理』バートン・マルキール:井手正介訳)