――役人のように、税で取った他人の金をばら撒くのではなく、身銭を切れということですね。

 そうです。役人だってできますよ。自分の給与から社会のためにお金を出すのです。還元先は、本当に社会的に弱い人で、必要な所に、身銭を切る。決して、名誉や見返りを求めないで使うのです。

 ――還元ですね。

 そうです。これは、「天に宝を積む」というのです。お金がそれで結果的に返ってくる。そうした還元の行為によって、発想が変わってきますから。

(『人たらしの流儀佐藤優
 宗教体験が純正であるかどうか。これは、一つには、その人の日常生活の中に見られる思想や行為から知るほかはない。神秘体験はあくまでも情動的で、その人の内面の精神の問題である。論理、知性の世界の出来事ではない。論証して正しさを証明するものではないのである。ただ、彼は自己のうちに絶対なる何ものかを見、否応なしに自分はそれと一なる存在であることを、今や、知っている。おのずと人格や生活行為の中に、それなりの宗教的自覚と境涯が表出されてくるのは当然なのであって、そこにこそ彼の宗教性の深さが験(ため)されることとなる。(『人類の知的遺産 53 ラーマクリシュナ』奈良康明)

ラーマクリシュナ
 脳の見方には、いろいろある。細胞生物学者なら、脳を神経細胞の集まりとして見るであろう。生理学者なら、膜電位の変化の集積と見るかもしれない。ここではそれを、まず情報系としてとらえてみよう。(『考えるヒト養老孟司
 母親にそうじを手伝えと言われて、うちの娘が言う。
「どうせまた汚れるんだから、そうじなんか、しなくてもいいじゃない」
 そういう人は、どうせ死ぬんだから、生きなくてもいい。そう言うのであろうか。どうせまたおなかがすくのだから、食べたって同じよ。そう思うのだろうか。
(『解剖学教室へようこそ養老孟司
「プロフェッショナルは、感情抜きでただその仕事をやるべきだ」ミカエル・リャブコ(『人はなぜ突然怒りだすのか?北川貴英

怒り
 ノブレス・オブリージュ(高貴な者の義務)といって、欧米では貴族や裕福な家に生まれた男は、社会のリーダーの義務として戦場に出るのが伝統だった。安全な後方から「突撃!」とけしかけるのではなく、「俺に続け!」と真っ先に切り込む者を「リーダー」と呼ぶ。だからアメリカの歴代大統領のほとんどが軍隊経験者である。たとえばケネディ大統領は太平洋戦争で魚雷艇に乗って戦い、兄は戦死している。
 ところが現在、アメリカ議会の上下院議員のうち軍隊経験者はわずか5%、自分の子供を軍隊に入れている議員はたった7人しかいない。デューク大学の調査によれば、大統領の閣僚や議員に軍隊経験者が少ない時ほどアメリカは戦争を起こしやすくなるという。自分や身内が兵士でないと、戦争の痛みはわからない。
(『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』町山智浩)
 これに対する私の答えは、チューリング以前の時代にも、実は生命が始まって以来ずっと、あらゆる生命形態の内部で、この世を支配する力は計算だったということだ。しかしその計算は非常に特殊な種類のものだった。この計算は、今のノートパソコンの能力と比べれば、ほとんどどの点でも負けている。それでも、ある一点、つまり適応に関しては、きわめて優れていた。こうした計算のことを、私はエコリズムと呼ぶ――つまり、その処理能力を自分が住み着いている環境からの学習によって導き、そこで有効な行動ができるようにするアルゴリズムである。(『生命を進化させる究極のアルゴリズム』レスリー・ヴァリアント:松浦俊輔訳)
 医学研究は進歩を遂げ、もはや健康な人々などほとんど残されていないまでになった。
  ――オルダス・ハクスリー
(『〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告』アレン・フランセス:大野裕監修、青木創訳)

精神疾患
 既成の秩序と建造物を破壊したのは項羽であるが、人の精神の風土にいぜんとして聳立(しょうりつ)している尊貴な血胤への尊崇とか人の自由の羈絆(きはん)となった儒教の礼を投擲(とうてき)しようとしたのは劉邦であろう。(『香乱記宮城谷昌光
 春秋時代の強国である(ご)の君主として覇(は)をとなえることになる闔廬(こうりょ)に、天才兵法家孫武孫子)が仕えるときに、
 ――将は軍に在(あ)りては、君命をも受けざる所有(あ)り。
 と述べた。
 将軍に任命されて軍を率いるようになってからは、たとえ君命に従わないことがある。すなわち戦場は千変万化の場であり、戦場をまのあたりにしていない君主の命令に従っていては、勝機をのがすばかりか、あずかっている兵を敗北によってそこなうことさえある。この思想は後世の軍事主導者にも享受(きょうじゅ)された。
(『香乱記宮城谷昌光
 大きな川は情報の伝達をさまたげる。(『香乱記宮城谷昌光
「苦難は人の真偽(しんぎ)をみぬかせてくれる」(『香乱記宮城谷昌光
 こうした解析の結果、標高が高いだけでは必ずしも脅威(きょうい)とならないが、そこに急な傾斜という要素が加わることで、地域の自殺率が高まるという可能性が示されたことになる。(『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある』岡檀)
 ある点で、中世修道会のような規律と自己犠牲を強いる諜報活動という職業は、修道生活に酷似している。
  ――1976年、諜報活動に関する米国上院教会委員会報告
(『石の結社デイヴィッド・マレル:山本光伸訳)
 服従は、社会生活の構造において、とくに目立つ基本的要素である。ある程度の権威体系はあらゆる共同生活に必要なものであって、従わないにせよ従うにせよ、他人の命令に反応しなくてもすむのは、孤立した生活をしている人だけである。1933年から1945年までに、罪なき数百万の人たちが命令によって組織的に虐殺されたことが確認されている。ガス室が建てられ、死のキャンプを見張りが監視し、品物を製造するときと同じように能率的に、毎日の割当て数の死体が生産された。この非人間的な政策は一人の人間の頭から出たものかもしれないが、非常に多くの人たちが命令に従ったからこそ、大規模に施行することができたのである。(『服従の心理 アイヒマン実験スタンレー・ミルグラム岸田秀訳)
「べつの見方がある」
「そうかな?」
「あんたは失敗をしなかった。おれが成功したのだ」
(『悪党ロバート・B・パーカー:菊池光訳)
 チリの森を知らない者はこの惑星を知らない。
 あの奥地、あのぬかるみ、あの静寂から、私は、歩き回り世界のために歌を歌いに出て来たのだ。
(『ネルーダ回想録 わが生涯の告白』パブロ・ネルーダ:本川誠二訳)
 孤児はまず、生き残る方法を学ぶ。幼いうちから感情を隠すことを知り、心の痛みが耐えがたいほど募ったときには、頭のなかに洞穴を作り、そこに逃げ込む。(『ピルグリム』テリー・ヘイズ:山中朝晶訳)
 土曜日、お菓子を焼いてから、富田夫人と、芝の福沢(諭吉)氏のお宅にうかがった。人力車の乗り心地もよく、福沢家の皆さんがとても親切で礼儀正しいので、私はすっかりうれしくなった。福沢氏は2階に案内して、江戸湾のすばらしい眺めを見せてくださった。(『勝海舟の嫁クララの明治日記』クララ・ホイットニー:一又民子、高野フミ、岩原明子、小林ひろみ訳)

福澤諭吉勝海舟
 非日常的なものとして、カリスマ的支配は、合理的支配、ことに官僚制的支配にたいしても、また、伝統的支配、わけても家父長制的および家産性的あるいは身分制的支配にたいしても、きびしく対立する。(『権力と支配マックス・ウェーバー:濱島朗訳)

権力
 いずれにしても、2010年~2012年の間のどこかでドル/円は底を打ち、この底打ちをもって【ニクソン・ショック以来長らく続いてきた基本的(超長期的)な円高トレンドは終わりを告げる】と考えています。(『きっちり儲けたい人のFXチャートの鉄人 必勝分析術』田嶋智太郎)

為替
――日本の仏教とテーラーワーダがもっとも違うのは、どこでしょうか。

スマナサーラ●違いはたくさんありますが、いちばんはやはり日本の仏教がいわゆる祖師信仰だという点でしょうね。祖師信仰では、その宗派を開いた祖師さんの言うことは何でも、自分ではちょっとどうかなと思っても、信仰しなさいと強要します。つまり、祖師の色に染まるんですね。

(『希望のしくみアルボムッレ・スマナサーラ養老孟司
 とすれば、ヒトがおたがいどうしを理解するのは、もともと脳の中にどういう内容が詰っているか、の問題ではなく(ヒトによって異なるに決まっている)、それが働く場合の「形式」の問題だ、といわざるを得ない。(『ヒトの見方養老孟司
「僕はこんな類の学問には興味はないんだ。結局のところ、ほんの少しの銀貨、多少のお米や野菜のためじゃないか」(『ラーマクリシュナ』堀内みどり)

ラーマクリシュナ
 実は、中世には私たちが考えるような「国家」はありませんでした。確かに、国はありますし王もいます。しかし、それらを上から支配していたのはキリスト教の長たるローマ教皇でした。フランスという国はあっても、フランスを動かすのは王ではなく教皇です。つまり、国の中心が不透明なのです。そうなればフランス王の支配領域、つまりフランスという区の領域(国境)も曖昧なものになってしまいます。要するに、国家の概念は、その中心も領域も曖昧でぼんやりとしたものでしかなかったのです。人々も自分がどこの国に所属しているのかはっきりとは意識していません。中世の人に「あなたはどこの人ですか」と問えば、荘園や教区の名を挙げるでしょう。もっと大きな枠組みで問えば「私はクリスチャンです」と答えるでしょう。中世という時代は、国が分立しているというより一つのキリスト教世界ととらえるべきです。しかし、キリスト教の時代は、教皇による十字軍の失敗によって崩れはじめます。(『歴史の見方がわかる世界史入門 いまにつながるヨーロッパ近現代史』福村国春)

世界史
渡部●わかりやすい例は、南京陥落の前後、蒋介石は外国人記者と300回近く会談を繰り返しているのに、一度も大虐殺を口にしたことがなく、もちろん毛沢東も周恩来も、誰も言っていないことです。(『日本の敵 グローバリズムの正体渡部昇一馬渕睦夫

日本近代史
 僕が代替エネルギーを認めないというのは、どんな代替エネルギーを使おうが、エントロピー問題には変わりがないからです。(養老)『ほんとうの環境問題池田清彦養老孟司
 佐藤総理とテレビで初めて対談するという江藤淳氏を事前に紹介して鎌倉の佐藤氏の別荘で会食した折、どんな話題の連脈でだったろうか江藤氏が、彼の叔父さんの江頭豊氏がチッソの社長に在任中、前任者の任期中に起こった水銀事件が波紋を呼んで大きな社会問題となり、それにつけこんで佐藤内閣の厚生大臣がことを穏便に収めてやるからその代償を要求したが、江頭社長がそれを拒否したら、その意趣返しにたちまち大臣が先頭切ってチッソを弾劾し始めたと怒りを込めて報告したものだった。
 もちろんチッソがあの地域にもたらした災害について江藤氏は何の弁護もしはしなかったが、ただそうした他人の不幸にまでつけこんで奸計を企む政治家の悪辣さについて悲憤していた。
(『国家なる幻影石原慎太郎

水俣病
フルフォード●ワシントンD.C.は、余り知られていないけれども、アメリカではないのです。法律的に District of Columbia は、バチカンやロンドンの金融街シティと同じく、独立国家なんです。【法的に、アメリカ合衆国とは別に、株式会社 The UNITED STATES OF AMERICA というのがある】のです。海軍法にもとづいて1871年に設立された会社です。

飛鳥●それはすごい話だ。

フルフォード●本当ですよ。調べればわかる。

菅沼●そのとおりだ。

(『神国日本八つ裂きの超シナリオ菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄)
 正道はうっとりとなって、この詞に聞き惚(ほ)れた。そのうち臓腑(ぞうふ)が煮え返るようになって、獣(けもの)めいた叫(さけび)が口から出ようとするのを、歯を食いしばってこらえた。忽(たちま)ち正道は縛られた縄が解けたように垣の内へ駆け込んだ。そして足には粟の穂を踏み散らしつつ、女の前に俯伏(うつふ)した。右の手には守本尊を捧げ持って、俯伏した時に、それを額に押し当てていた。(『山椒大夫・高瀬舟』森鴎外)
 第二次世界大戦の余燼なお冷めやらぬころ、業界屈指の研究志向型企業であるメルク社のトップ、ジョージ・W・メルクは、同社の科学者に向けて次のような信条を披瀝(ひれき)した。「薬は人々のためのものであり、儲けのためのものではないことを、われわれは深く肝に銘じておくことにしよう。儲けはあとからついてくるものであり、このことさえ忘れなければ、儲けが消えてなくなることなどありえない。このことを肝に銘ずれば銘ずるほど、付随する儲けは大きくなるものである」。メルクのこの言葉は、今もなお同社の年次報告書に記載されており、医学界の大きな催しや会合のときはいちばん目立つところに展示されている。(『新薬ひとつに1000億円!? アメリカ医薬品研究開発の裏側』メリル・グーズナー:東京薬科大学医薬情報研究会訳)
 ところがここで、どうにも不可解な謎にぶつかる。それほど医療が大きく進歩しているなら、アメリカの精神障害者の数は、過去50年間で人口比で減少したはずだ。1988年にプロザックや他の第二世代の精神科治療薬が登場してからは、さらに減ったと期待していいところだ。障害者率は2段階で減少したはずである。ところが薬物療法革命が進むにつれて、アメリカの精神障害者の数は【劇的に増加】しているのである。しかもプロザックや他の第二世代の精神科治療薬の導入以来、一段とピッチを上げているのだ。何より憂うべきことに、この現代の疫病は今や子どもたちにまで広がっている。(『心の病の「流行」と精神科治療薬の真実』ロバート・ウィタカー:小野善郎監訳、門脇陽子、森田由美訳)

精神疾患
 人間の知的活動は、すべて論理という約束事から成り立っている。(『出口式ロジカル・リーディング 読書で論理思考を手に入れよう』出口汪)

読書
 1903年に生まれたジョン・フォン・ノイマンは、彼自身が推進した原水爆開発の核実験で何度も放射線を浴びたため骨髄癌を発症し、1957年に亡くなった。たった53年1か月あまりの生涯の間に、論理学・数学・物理学・化学・計算機科学・情報工学・生物学・気象学・経済学・心理学・社会学・政治学に関する150編の論文を発表した。天才だけが集まるプリンストン高等研究所の教授陣のなかでも、さらに桁違いの超人的な能力を示したノイマンは、「人間のフリをした悪魔」と呼ばれた。(『ノイマン・ゲーデル・チューリング高橋昌一郎

ゲーデル
 何部屋分もたまったデータが指し示しているのは、プロザックをはじめとする一群の薬に自殺暴力を誘発する可能性があり、それらを製造している企業がそれを知っているという事実だ。企業がそれを知りながら製造しているということは、私たちに医薬品やバイオ技術や、他のヘルスケア製品を与えているシステムに構造的欠陥があるということを意味する。その構造的欠陥によって、近い将来、サリドマイド被害でさえ小規模だと思わせるような、恐ろしい薬禍または医療禍を引き起こしかねない。(『抗うつ薬の功罪 SSRI論争と訴訟』デイヴィッド・ヒーリー:田島治監修、谷垣暁美訳)

精神疾患
「おそらく謙譲こそは思慮深い者が持つ唯一のしるしなのだろう」(『ブラック・プリンスデイヴィッド・マレル:山本光伸訳)