この時代の経済でとくに記すべきことは、貨幣経済の浸透である。日宋間の交易で銭が輸入されたことはすでに記したが、日本にもたらされた【宋銭】(そうせん)の総量は2億貫にものぼるという。現在、中世考古学による遺跡の発掘から、10万枚単位で銭貨が発見されており、宋銭の数がぼう(ママ)大であったことは疑いがない。(中略)土地売買の証文を例にとると、鎌倉時代初期は米による土地売買が60%、銭による土地売買が40%だったものが、鎌倉時代末期には米15%、銭85%に変化している。(『詳説 日本史研究』佐藤信、 五味文彦、高埜利彦、鳥海靖編集)

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