考えてみると「泰平の」という語句には、江戸時代を「ペリーの『黒船』に腰を抜かすような情けない弱腰の江戸の武士たちが、まさに惰眠をむさぼっていた『泰平の世の中』だったのだ」という評価が込められているように思う。いかにも江戸を遅れた時代だと批判した明治時代人の歴史認識を示す表現ではないだろうか。つまり「泰平の」は、江戸時代をだめなものと思い込もうとした明治人によってアレンジされた狂歌なのではないかとも思われる。(『予告されていたペリー来航と幕末情報戦争』岩下哲典)

日本近代史