詩情の表現ということを除いては、写真の記録的な側面に興味を持ったことはない。生活から浮かび上がってきたような写真だけが私を惹きつけるのだ。見ることの歓び、感性、官能、イマジネーション、そういったものを心に留めて、カメラのファインダーの中にまとめ上げる。そんな歓びをいつまでも私は失わないだろう。
     ――アンリ・カルティエ・ブレッソン
(『写真術 21人の巨匠』より)
音のない記憶 ろうあの写真家 井上孝治』黒岩比佐子