アルバート・モルツは、非米活動委のトーマスやランキンの手合いがドイツでゲッペルスやヒムラーのやったことをここアメリカでもやろうとしている、ときっぱり言い、64ドル質問には、ストリプリングにたいして、「その質問にはもう答えましたよ、キスリングさん」と、わざと言いまちがえる(議事録では訂正されている)。キスリングとは、いうまでもなくナチ占領下のノルウェーでナチ協力のかいらい政権をつくった男の名で、当時は売国奴の別名だった。(『ハリウッドとマッカーシズム』陸井三郎)