人間は根源的な生存欲を中核(コア)とし自己を構築しています。さらに、生存欲から立ち昇るさまざまな欲求、願望によって自己中心の世界を構築します。一般の普通人は、自己のつごうに合わせて世界を切り取り、レンガを積んで家を建てるようにして世界像を構築するのです。この世界像が偏狭で利己的であればあるほど争いが起こります。犯罪が起こり、人種差別、不当な収奪、戦争まで起こります。これが我々の「現実」といっていいでしょう。したがって「現実」とは、個人の欲望のつくり出した虚構にすぎません。我われは決して「ありのままの世界」を見てはいないのです。(『ブッダの人と思想中村元、田辺祥二、大村次郷写真)

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