イスラエルの警官らが人種差別的な侮辱の言葉をアラビア語で言うのを聞いたムハンマドは、遮蔽物の陰から飛び出し、抗議しようとした。その瞬間、弾丸の雨に見舞われ、その場で亡くなった。遺体が病院に運ばれたあと、家族は息子の死の理由を明らかにするために検死を望んだが、イスラエルの所轄警察は家族に遺体を持って帰るよう命じ、検死は一切認めず、死亡原因を書いた死亡証明書を発行するのも拒んだ。(ムハンマド・ジャバーリーン、24歳)
(『シャヒード、100の命 パレスチナで生きて死ぬこと』アーディラ・ラーイディ/イザベル・デ・ラ・クルーズ写真:岡真理、岸田直子、中野真紀子訳)

パレスチナ
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と
 答える人のいるあたたかさ
(『サラダ記念日俵万智

詩歌
「とにかく、あの人の『生きたい』という思いはハンパじゃないから、みんなつい巻き込まれちゃうんですよ」
 北海道勤医協(きんいきょう)病院で医師(研修医)を勤める舘野(たての)知己は、そういって笑った。
(『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち渡辺一史

障害介護
 アメリカも大使館こそ移動していませんが、日本政府が避難区域を20キロとか30キロとかいっているあいだに、3月17日、ルース駐日大使は、福島原発から80キロ圏内のアメリカ市民は即座に避難するように勧告しています。同日、米軍も、横須賀の艦船や一部軍人、家族を安全地帯に移す「フェーズI」を発動、4ヵ月メンテナンスのため横須賀に停泊していた原子力空母ジョージ・ワシントンも米本土からきていた450名の技術者を乗せたまま、3月21日に出港、これを最後に横須賀から第7艦隊の11隻の艦船はすべて姿を消しました。
 アメリカは「トモダチ作戦」と称する被災地救援オペレーションを行うといっていたので、これらの艦船は東北沖にでも向かったのかと思ったのですが、何のことはない。17日のうちに全部出航してフィリピン沖まで逃げてしまったのです。米韓合同演習のために来ていた空母ロナルド・レーガンが東北沖に姿を見せましたが、これも福島原発から125海里(230キロ)以内の海域には決して入りませんでした。これが日米同盟の実態です。
(『この国の権力中枢を握る者は誰か菅沼光弘
須田●【大韓航空機爆破事件】も不思議で、死亡者は115人となっていますが、遺体はというと一体もあがっていないのです。

菅沼●爆破現場はタイの空域でしたが、あのとき私はタイの軍隊に協力を求め、部下を派遣して爆破の真相を調べさせました。そうしたら、ある段階まで調べたときに、タイの軍当局から「これ以上調べたらあなたの命はないかもしれないからやるな」と言われたのです。まだ明らかになっていない不思議なことがあるということです。

(『日本最後のスパイからの遺言菅沼光弘、須田慎一郎)
 書物を読みはじめたころ、私は東洋という語に心を惹かれた。岡倉天心の『東洋の理想』や、前田利鎌の『宗教的人間』、久松真一の『東洋的無』などに触発されたものであろうが、しかし私の内にある東洋は、岡倉のようにインドを含むものではなく、また前田、久松のように禅に傾くものでもない。もっと一般的な生活の中にある東洋、東洋のもつ美意識、節度というべきものを、その生活に即して考えてゆきたい。そこに真実の東洋があるという考えであった。
 それはたとえば、わが国の『万葉集』と、中国の古代歌謡である『詩経』の表現に見られる東洋的な自然観、その自然の中に息づく生活の節度というべきものに見出される。
(『回思九十年白川静
 コミュニケーションの面から見れば、話しことばは、まずなによりも他者への働きかけです。相手に届かせ、相手を変えること。変えるといっても、行動を変えさせる、持っているイメージを変えさせるなどいろいろですが、とにかく変えることで、たんなる感情や意見の表出ではない。
 ですから、話しことばがもっともよく発せられる場合といえば、自動車が来るのに気づかないで歩いている人に「アブナイ!」とどなるときなどはその典型で、こんなときは、からだ全体が単一の目標に向かって躍り上がり、知らないうちに大ごえが出ている、というわけです。
(『ことばが劈(ひら)かれるとき竹内敏晴
 ちなみに脳のニューロンでは、軸索を電気信号が伝わる速さは、最大で秒速100メートルほどである。(『脳のしくみ ここまで解明された最新の脳科学ニュートン別冊

脳科学
 喜んで事をなし、なされた事を喜ぶ人は、幸福である。(「格言と反省」から)『ゲーテ格言集ゲーテ:高橋健二訳
 いまは日中関係も日韓関係も北朝鮮との関係もガタガタになっているけれど、その根源はどこにあるのかといえば、第一の要因は、1982年の教科書問題に発しています。これは高等学校の歴史教科書の記述において文部省が日本の中国華北への「侵略」を「進出」と書き改めさせたという報道がマスコミによって一斉になされ、この報道を受けて中国が猛然と反発抗議してきた事件です。
 しかし調べてみると、どの教科書にもそんな事実はなく、マスコミの明らかな誤報だったのですが、いろいろすったもんだしたあげく、あろうことか当時の宮沢喜一官房長官が「今後、教科書検定については国際理解と国際協調の見地から、アジア近隣諸国の感情を害さないように配慮する」と発言しました。いわゆる「近隣諸国条項」というものです。
 そもそも「侵略→進出」の誤報も、一部のマスコミが意図的にミスリードしたふしがあるのですが、そうした流れのなかで日本政府はこのときからひたすら「謝罪外交」の道を歩み始めることになりました。
(『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?菅沼光弘
「この世で始まったことはこの世で終わるやろ!」並河正夫(『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』春日太一)
 ホイップクリームやコーヒーフレッシュは乳製品ではなく、ミルク風味に加工したサラダ油です。本当のミルクは悪くなるので冷蔵庫にしまいますが、これらの加工乳は何日もテーブルの上に置いてあります。(『そのサラダ油が脳と体を壊してる』山嶋哲盛)
 このように、いかに難題であっても、数学の問題は、真か偽のどちらかに違いない。したがって、数学的真理は、いつかは必ず証明されるように思われる。
 ところが、実は、そうではないのである。不完全性定理の重要な帰結の一つは、数学の世界においても、「真理」と「証明」が完全には一致しないことを明確に示した点にある。しかも、ゲーデルは、ただ完全に一致しないという結論だけを示したわけではない。彼は、一般の数学システムSに対して、真であるにもかかわらず、そのシステムでは証明できない命題Gを、Sの内部に構成する方法を示したのである。
(『ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論高橋昌一郎
ゲーデルの仕事は、数学的議論の論理的構造をはかりしれぬほど深め、また豊かにしたのみならず、人間の理性一般における限界というものの役割を明らかに示したのです」オッペンハイマー(『ゲーデル・不完全性定理 "理性の限界"の発見吉永良正
 近代とは、“ヨーロッパが世界を制覇した時代”と言うことができるが、そのようにヨーロッパに絶対的な覇権をもたらしたもの、ということはすなわち、「近代」という時代そのものを生んだ源泉が、他ならぬ「近代科学」なのである。(『ケアを問いなおす 「深層の時間」と高齢化社会広井良典