「所得水準は“つくった量=供給”ではなく“売れた量=需要”によってきまる。需給を一致させる市場の価格メカニズムは十分に働かない。したがって政府が市場に介入して需給を調節する必要がある」というのがケインズの基本姿勢である。(『富の不均衡バブル 2022年までの黄金の投資戦略』若林栄四)
 ただし、「空」という単語は、お釈迦さまの時代にはそれほど特別視されていなかったことも確かです。空と同時に、蜃気楼とか、無常という単語も使う。空の代わりに、苦、苦しみという単語も使う。夢という単語も使います。大乗仏教では空というのが一つの哲学思想体系として発展していくのですが、初期仏教では、ただ現象の姿を説明する一つの単語にすぎないのです。現象の本当の姿を説明するためにいろいろな単語を使っていて、そのなかに空という単語もあるだけです。べつに空という単語を一つだけ取り出して、独立した思想体系にすることはなかったのです。(『般若心経は間違い?アルボムッレ・スマナサーラ
 旋盤工になるためには、腕も磨くが、耳も鍛えなければならない。耳を鍛えるという言葉が適当でないとすれば、耳を肥やす、かも知れない。むろん、眼も肥やさなければいけない。旋盤工に限らず、およそモノを作る人間の腕を磨くとか、腕前とかの言葉には、手先の器用さのほかに、耳や眼や鼻などの五官が、重要な役割を果たすものとして含まれる。(『鉄を削る 町工場の技術小関智弘
 看護婦は死んだ赤ちゃんを取り上げようとしたが、彼女は必死に抵抗した。私はその小さな遺体をどうするのだろう、と不思議に思った。ちょうどそのとき、衛生兵が彼女から赤ちゃんを奪い取り、すぐさま貨車から放り投げた。そのちっちゃな身体はほんの一瞬、人形のように空中をゆっくりと飛んでいき、すぐに見えなくなった。(『竹林はるか遠く 日本人少女ヨーコの戦争体験記』ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ著・監訳:都竹恵子訳)

戦争
 日本は公的資金を直接注入するだけでなく、ゼロ金利と量的緩和による景気刺激策を行い不良債権処理も含めて経済の立て直しに時間をかけてきました。銀行に預けても利息はつかず、高齢者などにとっては厳しい環境が長期化しました。仮に20年間、日本が3.6%の金利であれば、複利計算を行うと預貯金は倍になっていたことになります。
 言い換えれば、日本人は預貯金の利息をもらわないことで金融機関を支えてきたのです。公的資金の注入と国民の見えない支援が日本再生の両輪でした。長い時間をかけ、これだけの犠牲を払うことによって、経済大国の座を失わずにバブル崩壊から立ち直ったのです。
(『世界はマネーに殺される』青木文鷹)
 私たちが現実と思っているこの世界は、心がつくりだす「錯覚の世界」に過ぎない。
 仏教ではそう語っています。
 ですが、皆の錯覚はほとんど似ているので、錯覚ではなく現実そのものではないかと、私たちはさらに錯覚します。
(『小さな「悟り」を積み重ねるアルボムッレ・スマナサーラ

認知科学悟り
 資本主義は「中心」と「周辺」から構成され、「周辺」つまり、いわゆるフロンティアを広げることによって「中心」が利潤率を高め、資本の自己増殖を推進していくシステムです。(『資本主義の終焉と歴史の危機水野和夫

さらば、資本主義
 米国は日本と違い、対外純負債があるので問題だとされますが、実は、それは違います。
 戦後世界がドルを基軸通貨と認めてきたため、米国の対外負債はドル建てです。他方、対外資産は、現地通貨建てです(円、元、ユーロ、南米・アジア通貨)。ドルの実効レートが15%下がると、為替利益で対外資産($18兆)が15%切り上がって$21兆に増えたかのようになります。ところが対外負債はドル建てですから$21兆のままです。
 米国は、ドルの実効レートの15%低下で、対外資産と負債をバランスさせ、$2.7兆の対外純債務が魔法のように消えます。これに対応する損をするのは、対外資産を563兆円もつ日本の金融機関と政府、および外貨準備を$3.2兆(256兆円)もつ中国政府です。
(『国家破産 これから世界で起きること、ただちに日本がすべきこと吉田繁治
 原油だけではなく、シカゴ・マーカンタイル取引所に代表される商品取引において、最終的に決済するのはドルです。ということは、先物市場を利用する人はドルを調達してこなければいけないということです。円の取引でも、ユーロの取引でもいいのですが、最終的に差額決済をするときにドルを使います。(『経済は「お金の流れ」でよくわかる 金融情報の正しい読み方岩本沙弓
 合衆国の人口は全世界の5%以下しか占めていないのに、監獄人口では全世界の20%以上を占めていることを知れば、この数字の持つ意味は一層明らかとなる。エリオット・カーリは「今日、監獄はわが国の歴史上、あるいはその他の産業民主主義国家の歴史上かつてない不気味な存在となってわれわれの社会に立ち現れつつある。主要な戦争を除けば、大量投獄は現代の最も完全に執行された政府の社会計画だった」と書いている。(『監獄ビジネス グローバリズムと産獄複合体』アンジェラ・デイヴィス:上杉忍訳)
殷の紂王が)象牙の箸で食事をするようになれば、それまでの粗末な土器の茶碗では物足りなくなり、きっと玉(ぎょく)で作った食器を使うようになる。玉の食器を使うなら、その中に入れる食品もマメのスープなどの質素なものではなく、贅沢で珍奇な食品になるだろうし、そうなれば次にはそれを食べるときの服装にもきっと凝(こ)りだすだろう。また食事をする場所も、わらぶきの家ではなくて豪華な宮殿で、ということになるだろう。箕氏(きし)はそう考えて、この象牙の箸は単に立派な食事用具というだけにとどまるものではなく、最終的には莫大な浪費と国家の破滅につながる、諸悪の根源であると考えたのである。(『漢字の字源』阿辻哲次)

箕氏の憂い
 実は、安久工機はずっと、従業員5~6名の町工場である。そんな小さな工場でどうして、と思われるにちがない。人工心臓器ひとつを見ても、さまざまな金属機械加工や樹脂系の加工が必要なのは素人でもわかる。小さな工場に機械を並べただけでできるわけがない。それを可能にしているのが、町工場の集積地大田区の利点で、安久工機にはいつでも協力してくれる工場が50社ほどもある。大田区は自転車でひとまわりすればたいていの仕事ができるほど多様な技術を持った町工場があることから、自転車ネットワークとか路地裏ネットワークと呼ばれるネットワークが可能な町である。(『どっこい大田の工匠たち 町工場の最前線小関智弘
 現在スーパーなどで売られている野菜のタネは、ほとんどがF1とか交配種と言われる一代限りの雑種(英語ではハイブリッド)のタネになってしまっていて、この雑種からタネを採っても親と同じ野菜はできず、姿形がメチャクチャな異品種ばかりになってしまう。(『タネが危ない』野口勲)
 ちなみに言うと、血筋・家系だけを重視するバラモン教に反対した宗教は仏教だけではなく、同じような主張を唱える宗教が、そのころの社会にたくさん登場していたようです。時代の潮流だったのでしょう。それらをまとめて「沙門宗教」といます。沙門とは「努力する人」という意味です。カースト制度の社会では生まれたあとにいくら努力しても無駄だったけれども、いやいやそうではない、努力次第で幸福になれるのだという人々がたくさん現れ、そのうちに一つとして仏教があったのです。(『本当の仏教を学ぶ一日講座 ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか佐々木閑
 近代文明が人間にもたらしているダメージは、土壌の悪化からスタートしている。化学肥料は土壌の中のミネラル成分を追い出し、土壌中の虫類がいなくなってしまうことと一緒に、微生物相を変えてしまった。機械化農場の表層土の流出がひんぱんに起きるようになったのも、この結果である。そしてこれはまず最初に作物を伸び悩ませ、次に作物を退化させることになった。農場には有害な物質(殺虫剤)がまかれて、土壌をますます有害な土壌にし、さらにそれが農作物や果実に吸収される。
 われわれはこういう事態やその他の多くの観察結果から、土壌および土壌の中に育つ全てのものを自分たちと縁遠い存在としてではなく、自分たちの【外部代謝】なのだと考えねばならない。
(『ガン食事療法全書』マックス・ゲルソン:今村光一訳)

ゲルソン療法
 GMが業績を急回復させたことは、他のアメリカの大企業を大いに刺激した。アメリカの産業界全体が、GMに見習えとばかり大幅な賃下げの動きに出たのである。まずはGMと同じビッグスリーのフォードクライスラーが追随し、電機大手のGEがそれに続くと、従業員の給与を大幅に下げて収益を保つ新生GM流の経営がアメリカ全土に広がっていった。(『インフレどころか世界はこれからデフレで蘇る中原圭介
 しかし仏教の場合、それは並の分裂ではない。本来の阿含仏教から見れば極端に性格の異なる教義が、次から次と現れ、ついには思想、宗教の一大集積場の観を呈するに至る。それは単一の宗教が時とともに少しずつ変容し、亜種を生み、多様化していくといった穏和な状況とはほど遠い、一種の内部爆発とも呼ぶべき現象である。初期阿含仏教と後期密教を比較するなら、仏教と銘打った一つの宗教が長旅の果て、最後にどれほどかなたの地に至って臨終を迎えたか実感として理解できよう。(『インド仏教変移論 なぜ仏教は多様化したのか佐々木閑
 一部のアルゴリズムは、人工知能の分野にそのルーツがある。1968年の映画『2001年宇宙の旅』に出てくる人工知能コンピュータ、Hal(ハル)9000(Heuristically programmed ALgorithmic computer から名付けられた)ほど賢くもないし自己認識もないかもしれないが、アルゴリズムは自分で進化することができる。彼らは観察し、実験し、そして学ぶことができるのだ――彼らを作った人間とはまったく関係のないところで。(『アルゴリズムが世界を支配する』クリストファー・スタイナー:永峯涼訳)