ともあれ、進化論の普及によって、純朴なキリスト教信仰をそのまま維持することが困難になったことは、疑いようがなかった。また、アメリカ社会の多くの人々は、従来のキリスト教信仰に飽き足りず、より合理的で腑に落ちる新しい宗教観・死生観を求めていた。そうした欲求に応えたるために登場したのが、「心霊主義」(スピリチュアリズム)の運動である。(『現代オカルトの根源 霊性進化論の光と闇』大田俊寛)
 情報をめぐる闘いが戦争に刻印を残したように、戦争も情報に刻印を残した。第二次世界大戦中、暗号作戦は技術から科学へと変わりはじめた。ハワイの汗臭い暗号ルームやイングランドの風情(ふぜい)のある屋敷で仕事をしていた暗号解読者たちは、情報理論と呼ばれる革命の先触れとなったのである。(『宇宙を復号(デコード)する 量子情報理論が解読する、宇宙という驚くべき暗号チャールズ・サイフェ:林大訳)
 今日の【国策新聞】にのっている記事を、一語一語そのまま書き写しておく。

「120日後に宇宙船《インテグラル》の建造が完成する予定である。最初の《インテグラル》が宇宙空間へ高高と飛翔(ひしょう)する偉大なる歴史的時間はせまっている。今を去る1,000年前、諸君らの英雄的な先祖は全地球を征服して【単一国】の権力下においた。さらにより光栄ある偉業が諸君の眼前にある。ガラスと電気の、火を吐く《インテグラル》によって、宇宙の無限の方程式がすべて積分(インテグレート)されるのである。他の惑星に住んでいる未知の生物は、おそらくまだ【自由】という野蛮な状態にとどまっていようが、諸君は理性の恵み深い【くびき】に彼らを従わせねばならない。数学的に正確な幸福をわれらがもたらすことを彼らが理解できぬとしたら、われらの義務は彼らを強制的に幸福にすることである。しかしながら、武力に訴える前に、われらは言葉の威力をためしてみよう。
【恩人】の名において、【単一国】の全員数構成員(ナンバー)に布告する――
 自ら能力ありと自負するものは、すべて、【単一国】の美と偉大さに関する論文、ポエム、宣言(マニフェスト)、頌詩(オード)、その他の作品を作成せねばならぬ。
 これは《インテグラル》が運搬する最初の積荷となる。
【単一国】万歳! 員数成員万歳! 【恩人】万歳!」

(『われら』ザミャーチン:川端香男里訳)

ディストピア
 しかし価値というのも、信じるというのと同様、科学的には思えない言葉である。マッハが、その長く生産的な生涯を通して、物理学から哲学へと転じたのも、まさに彼が価値の問題に魅了されるようになったからだ。科学的説明の価値とは何か。科学者はどういう類の説明を目指すべきか。マッハがウィーンに戻る頃には、その名声は、科学の業績よりも、哲学上の著述の上にあるようになっていた(科学上の業績も、多岐にわたり有益ではあるが、本当に特筆すべきものはない。彼の名が科学者以外の人びとにも知られているとすれば、飛行物の速さが音速の何倍かを示すマッハ数によるものである。便利な考え方とはいえ、天才のひらめきとは言いがたい)。(『ボルツマンの原子 理論物理学の夜明け』デヴィッド・リンドリー:松浦俊輔訳)

デイヴィッド・リンドリー
 私自身が2010年以降に「ブラック企業」という言葉を意識するようになる上で、決定的に重要だった出来事がある。それは、リーマンショック以降の2009年2月、3月ごおに寄せられた若年正社員からの大量の相談である。この時期、正社員の若者が次々と相談に訪れたのだ。それまでも、非正規雇用者と同じだけ若年正社員からの相談が寄せられており、どれも深刻なものばかりだった。だが、09年のこの時期からは、明らかに若年性社員の扱いの変化が感じ取れた。それは「使い捨て」と呼ぶにふさわしい扱いを、若年性社員は受けているという実感である。あるいは、すでに変化していた正社員雇用の性質が、それまでの好景気の中では見えず、リーマンショックを契機としてあらわになったといってもよいだろう。(『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』今野晴貴)
 イギリスでは、「イナフ(もう充分)」という名の反消費運動が起きている。運動の支持者は現在の社会が“もの”を消費しすぎ、その過剰消費文化が地球を疲弊させると考えている。世界の貧困や環境破壊、そして人びとの社会的疎外にいたるまで、原因の一つは過剰消費にあるという。「どれだけあれば足りるのか」「もっと身軽な、ものの少ない暮らしを実現できないか」「買い物に依存せずに満足をえる方法はないか」、改めて考えようとイナフは呼びかけている。(『なぜ、それを買わずにはいられないのか ブランド仕掛け人の告白』マーティン・リンストローム:木村博江訳)

ヴァンス・パッカード
 今ではこの現象に簡単に説明がつく。全て「シンクロ」という現象だ。偶然の重なりは必然であるという考え方。他の言葉では「引き寄せ」の法則とも言う。人で言えば、類は類を呼ぶ(ママ)現象だ。ケンカ好きであれば、ケンカをする人を引き寄せる。猫好きであれば、道を歩いていてもいつも猫にいきあたる。そして、エホバやサタンを信じれば、それを強化するような現象が引き起こされる。
 人は意識を向けたところにエネルギーを注ぐ。そしてエネルギーは密度が濃くなると、擬似的に実体化するのだろう。
(『ドアの向こうのカルト 9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録』佐藤典雅)