発見は、疑問に答えを与えてくれることもある。しかし非常に深い発見は、疑問にまったく新しい光を投げかけ、それまでの謎は知識不足のせいで生じた思い違いだったことを教えてくれる。(『宇宙を織りなすもの 時間と空間の正体ブライアン・グリーン:青木薫訳)

宇宙時間
 ゴルギアスは、間主観性錯覚だということに気づいただけではなかった。彼は、他者の心が実際には知ることができず、感覚を通して推測することができるだけなのだから、それらは存在していないのかもしれないという結論に達した。結局のところ、実際には、ほかの人間の心を見ることも、それに触れることも、その重さをはかることもできない。私たちが実際に観察できるのは、動く体、話す口、歪む顔だけである。このような理由から、ゴルギアスはいまも、多くの学者から、世界で最初の唯我論者――哲学的理由から、ほかの心の存在そのものを否定する者――とみなされている。(『ヒトはなぜ神を信じるのか 信仰する本能』ジェシー・ベリング:鈴木光太郎訳)

科学と宗教
 オフショアは、富と権力を持つエリートたちが、コストを負担せずに社会から便益を得る手助けをする事業なのだ。
 具体的なイメージを描くとすれば、こういうことになる。あなたが地元のスーパーマーケットでレジに並んでいると、身なりのいい人たちが赤いベルベットのロープの向こうにある「優先」レジをすいすい通り抜けていく。あなたの勘定書きには、彼らの買い物に補助金を出すための多額の「追加料金」も乗せられている。「申し訳ありません」とスーパーマーケットの店長は言う。「でも、われわれは他に方法がないのです。あなたが彼らの勘定を半分負担してくださらなければ、彼らはよそで買い物をするでしょう。早く払ってください」
(『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』ニコラス・シャクソン:藤井清美訳)

マネータックスヘイブン
 真に偉大な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ。人生が生きるに値するか否(いな)かを判断する、これが哲学の根本問題に答えることなのである。(『シーシュポスの神話』カミュ:清水徹訳)
 世紀半ばには、他の強国が台頭する。今は強大な国と見なされていないが、今後数十年間でますます力を蓄え、自己主張を強めると思われる国々だ。中でも3国が傑出する。第一が、日本である。日本は現在世界第2の経済大国だが、資源に乏しく輸入依存度がきわめて高いという点で最も脆弱な国でもある。軍国主義の歴史を背負う日本が、平和主義的な二流大国のままでいるはずがない。そのままではいられないのだ。深刻な人口問題を抱えながら、大規模な移民受け入れに難色を示す日本は、他国の新しい労働力に活路を見出さざるを得なくなる。日本の脆弱性については以前も触れたことがあるが、これまでのところ日本はわたしが予想したよりうまく対処しているようだ。しかしいずれ政策転換を迫られるだろう。(『100年予測 世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図』ジョージ・フリードマン:櫻井祐子訳)
 問題なのは、窓ガラスが割られた状態で放置された車の例でも、その地域全体のち庵が悪化したわけではなく、秩序の乱れや逸脱は、車の周囲に限定されているということである。
 つまり、割れ窓を取り除く効果は、秩序の乱れの及ぶ範囲や逸脱の範囲に一定の限界を持っているということであり、たばこのポイ捨てや落書き、小さな違反行為などをターゲットにした場合には、「割れ窓理論」は、その行為に限って効果がある可能性があるが、その効果に限界があるということである。
(『2円で刑務所、5億で執行猶予』浜井浩一)
 しかも、ただ単に翻訳家にとどまらず、彼自身がすぐれた霊的能力の持ち主であり、実践をなによりも重視する密教の導入に欠かせない逸材といってよかった。
 そのドルジェタクには、しかし、闇の部分があった。彼は自分に敵対する者を、仏教における智恵の神、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の化身(けしん)にして冥界の王たるヴァジュラバイラヴァ(ヤマーンタカ)を主導とする密教修法によって、つぎつぎに葬り去っていったのである。彼が用いた秘儀を「度脱」(ドル)という。度脱は、ある特定の人物を、それ以上の悪事を重ねる前にヴァジュラバイラヴァの秘法を駆使して呪殺し、ヴァジュラバイラヴァの本体とされる文殊菩薩が主宰する浄土(じょうど)へ送り届けるというものである。ドルジェタクは、おのれの行為を慈悲の実践にほかならないと主張した。(『性と呪殺の密教 怪僧ドルジェタクの闇と光』正木晃)