もとより記憶とは、自身の内部(なか)に懐かしく立ち現れる、かく在りきイメージの再現行為などではなく、現在(いま)を分水嶺として、はるか前後へと連なっていく大いなる時間に向けて、したたかにかかわっていく心の領域のことだと思うからである。(『犬の記憶』森山大道)