この『中国の五大小説』上下でとりあげる『三国志演義』(さんごくしえんぎ)『西遊記』(さいゆうき)『水滸伝』(すいこでん)『金瓶梅』(こんぺいばい)『紅楼夢』(こうろうむ)の五篇も、すべて白話(話し言葉)で書かれた長篇小説である。このうち、先の四篇は明代に完成・刊行されたものだが、17世紀前半の明末ごろから「四大奇書」と総称され、白話長篇小説の傑作として高く評価されるようになった。(『中国の五大小説中野美代子