こうしてみると、私たちの顔は、まるで肛門から肛門括約筋(かつやくきん)が飛び出るのと同じように、エラの内蔵筋が口から飛び出した一種の「脱肛」(だっこう)現象といえる。そして、表情運動の本質こそ、まさに私たちの内蔵運動、すなわち「はらわたの動き」が、文字どおり「目・鼻をつけて」飛び出し、白日(はくじつ)のもとに曝(さら)されたものにほかならない、といえる。(『唯臓論』後藤仁敏)