1812年、ロシア人の90%は農奴であった。地主階級の全くの所有物として売り買いされていた。気まぐれで売買されることもあり、かつての西欧の小作人よりむしろ奴隷に近い。1789-99年に起きたフランス革命の行動指針と理想は、ナポレオンの遠征軍とともに広がっていった。中世の社会秩序を壊し、政治的境界線を変え、国家主義(ナショナリズム)の概念を醸成した。彼の遺産は、実社会にも影響を及ぼし、一般的な国民主権と法体系が、地域的な決まりやしきたりという多様で不明確な習慣に取って代わった。そして故人、家族、財産権といった新しい概念が導入された。また、地域によってバラバラだった度量衡も統一された。(『スパイス、爆薬、医薬品 世界史を変えた17の化学物質』ペニー・ルクーター、ジェイ・バーレサン:小林力訳)