ゲーテはドイツ人をユダヤ人やギリシャ人と同様に悲劇の民と呼んでいるが、今やドイツ人はあたかも浅薄で意思を持たない追従者の群れのようだ。内面の奥底から骨の髄まで吸い取られ、自分自身の核となるものを奪われて、甘んじて破滅へと追い立てられゆく群れだ。見かけはそうだが、実は違う。実は、偽りの姿をとってゆっくりと忍び寄る組織的な暴力に無理強いされ、一人一人が精神の独房に閉じ込められてしまった。そして、そこに縛り上げられて横たわった時初めて、おのれの身の破滅に気づいたのだ。(※白バラのビラI)『「白バラ」尋問調書 『白バラの祈り』資料集フレート・ブライナースドルファー編:石田勇治、田中美由紀訳