これはけっして、犬やヒヒがあまりにも愚かもしくは間抜けだから、あるいは鏡の像に関心がないから、鏡の像を自分と結び付けることができないということではなく、彼らが自己という概念を把握することがまったくできないらしいということなのだ。ここで強く示唆されているのは、これらの動物が自分の心の状態を反映する手段をもたず、「私はこれが欲しい、私はこう感じる」といったことをけっして考えず、ましてや「もし私があなただったら、こう感じるでしょう」と想像することなど、けっしてできないということなのだ。(『内なる目 意識の進化論ニコラス・ハンフリー:垂水雄二訳)

鏡像認知認知科学