なぜ都市で、とくに時間が早くなるのか。もちろん、ハイテク化が進んで行くからである。それでは、ハイテク化とはなにか。コンピュータに代表されるように、それはまず第一に、情報化である。なぜ都市は、とくに大都市は、極端に情報化するのか。
 都市とはもともと、そのために生じたものなのである。都市には、予測不能なもの、ゆえに統御不能なものは、存在してはならない。それどころか、不測かつ統御不能という性質を持つものを排除した空間、そうしたものとして、そもそも都市が成立したのである。あたりまえのことだが、すべての予測は情報の上に成り立つ。一極集中がどこまでも進むことも、情報に関係している。入手が遅れた情報は、その価値を失う。それは、だれでも気づいていることであろう。
(『カミとヒトの解剖学養老孟司

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