密教の場合は、シンボル儀礼がとても重視される。その理由は、密教では、仏教の最高の真理は、シンボルでならば表現できる可能性がある、とみなされているからだ。儀礼は、ふつうの手段では表現できない重要なことがらを、シンボルをもちいたり、シンボリックな動作によって表現される行為とみなされるので、重視される。そして、マンダラこそ、シンボルのきわみなのである。(『マンダラとは何か』正木晃)