しかし、存続が目的であるとすれば、もっとも成功した社会とは、もっとも変化しなかった社会、彼らの伝統とアイデンティティとを保持してきた社会、または、環境の搾取を合理的に制限することで、存続をはかってきた社会なのだ。これまでもっとも長く続いてきた社会、変化の恐れにうまく抗してきた社会とは、今でも狩猟採集生活をしている社会である。南アフリカのクン・サン、またはブッシュマンと呼ばれる人々、オーストラリアの先住民、森の奥深く、めったに出会わない人々などだ。(『人間の境界はどこにあるのだろう?フェリペ・フェルナンデス=アルメスト長谷川眞理子訳)