その匂いにとらわれるとき、彼を愛せずにいられないのだ。自分と同じ人間として受け入れるだけでなく、狂ったように愛しだす。忘我のきわみに陥るだろう。よろこびにふるえ、陶酔の声をはりあげ、泣き出しさえするだろう。(『香水 ある人殺しの物語パトリック・ジュースキント池内紀訳)