このときの表情に凛乎(りんこ)たる信念があることに、おどろいたであろう。晏嬰(あんえい)はむしろこのときを待っていたのである。「恐れながら申し上げます」。重苦しい空気をやぶるように溌剌(はつらつ)と声があがった。(『晏子宮城谷昌光